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笑いの大学@映画版 [DVD/ビデオ/映画レビュー]

僕が嫁と知り合った時、最初にお薦めされ手渡されたビデオが
「笑の大学」の舞台版だった。
といっても、その頃はまだ映画になる話もなく
三谷好きの僕にとってビデオが販売されていないこの作品を見れる事が
とても嬉しかったことを覚えている。
(DVDが5月に発売されたので、購入予定である)

そして、笑いの手本となるような素晴らしい舞台だった。
何度も見たくなるような作品で
嫁はビデオを見すぎてセリフを暗唱できるという特技も持つ。

その映画版。
舞台を見たことのある人は期待して見ないほうが良いかもしれない。
内容は同じでも全く別物である。

笑の大学は戦時中、日に日に厳しくなる検閲に苦しむ
座付き作家と検閲官との争いを描いたものである。
どうやっても笑いのある舞台の台本を検閲に通したい作家と
笑った事が今まで一度もなく、笑いの必要性も感じていない検閲官。
立場も考えも全く違う彼等が、検閲を受ける中
笑いを通じて心を交わしあうのだ。

この物語の流れを見て分かるとおり
沢山のギャップが設定に散りばめられている。

 ・戦時中という状況と喜劇を演じる舞台
 ・検閲官と舞台作家
 ・笑いに対する関心/無関心

これらのギャップをとても上手く使い笑いを生んでいる。
以前このBlogで触れたように、権力の相対化、緊張と緩和という方法で笑いを取る場合には
このようなギャップは不可欠なのだ。
そのような意味で、まさに笑いのお手本だと考える。

つまり、ギャップがクッキリするほど、物語が生きると言えるのだが
正直、作家役の稲垣吾郎の緊張感がぬるい。
必死さが伝わってこない。
それにより、ギャップが生まれず笑いになっていないのだ。

舞台版の作家役は近藤芳正。
鬼気迫る演技だった。
必死さが全く違う。
情熱が痛いほどに伝わってくるのだ。

ただ1点関心したのは稲垣吾郎の演じる作家は
とても愛嬌があり、また違った作家役像を見せてくれている。
そのような作家を描きたかったのであれば
舞台版とセリフを全く同じにすべきではなかったと考える。

一方、もう一人の主人公、検閲官の役所広司。
舞台版の西村雅彦よりも毒気が無いものの、さすがといった感じだ。
彼の表情が一番笑えた。
そして、彼の私生活が少しだけ垣間見えたのが
舞台との大きな違いだろう。

彼が通勤途中に台本を見ながら笑っている姿や
家に帰ってから台本に夢中になっている場面が
とても印象に残っている。
これによって彼の生活が変わったことがとても良く分かり
感情移入し易くなっていた。
彼の奥さんはそんな姿を見て嬉しかっただろうなぁ。。。とか
舞台を見ただけでは想像できなかったことまで考えることができる。

総評。
舞台版の笑の大学を知る人にとっては少し物足りない。
が、舞台の補足的に見ることが出来る。
初見の人にとっては、平坦な物語に見られる可能性がある。

砂消しゴムで消せない度数
★★☆☆☆

笑の大学 スペシャル・エディション

笑の大学 スペシャル・エディション

  • 出版社/メーカー: 東宝
  • 発売日: 2005/05/27
  • メディア: DVD


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