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進化し続けるアンタッチャブル [芸人評]

去年のM-1で優勝を果たしたアンタッチャブル。

彼らは今年で芸暦11年目だ。
暦で言えばすでに中堅でもおかしくない年代である。

やっているネタが昔と違うのかといえば全くそんなことはない。
彼らの代表作”親友”ネタなどは、僕が記憶する限りで7,8年前からやっているネタだ。
親友の定義ってなんだろう?から始まり、受験に失敗した親友を適当になぐさめるといった
流れも全然変わっていない。

何故去年というタイミングで世間に認められ始めたのだろうか?
本日はこのような視点でアンタッチャブルについて考えてみたい。

昔と今の漫才を見比べると全く印象が違う事が分かる。

以前はテンポが一定で耳から入った言葉が右から左へ、ただ抜けていく感じがしていた。
漫才の技術は高いにも関わらず、全くネタの印象が残らない。
次にツッコミ。
ボケの軽さに対してツッコミが重過ぎる。
ボケとツッコミのサイズが合わないほど、見ていて苦しいことはなく非常にバランスが悪く見える。

現在、上記に挙げた印象は180度違う物になっている。
ボケ山崎の成長もさることながら、ツッコミの柴田を賞賛したい。

まず最初に挙げた、印象に残らないという問題に大して柴田は面白い方法を見つけた。
山崎がボケたあとの柴田に注目して欲しい。

”すぐに突っ込まず、一度”ウン”と頷いてからツッコんでいる”

この効果は絶大だ。
右から左へ流れていた言葉を、一旦堰き止める。
堰き止めてからツッコミを入れるので、その間に客が想像する時間が作られる。
その想像する一瞬の間を作ることが彼らを劇的に変えた。
山崎の適当なボケと柴田のテンションの高いツッコミに対して
この間が必要だったのだ!!

思考と水は同じだと考える。
流れのある物が一度堰き止められ開放されると、加速する。

アンタッチャブルのネタを見ていて一気に加速する瞬間を味わったことがないだろうか?

次にツッコミの重さ。
柴田は特殊なツッコミだ。
例えたり、一言添えたりと重たいツッコミをする。

柴田は昔、このツッコミを直に山崎のボケにぶつけていた。
しかし最近は、山崎のボケに対してツッコミは軽めの
”なんでだよ”程度で済まし
その後、もう一度例えたり、一言添えるツッコミをするという
”2段階ツッコミ”を使用するようになった。
この方法を使う事によって、ボケとツッコミの重さのバランスが合い
さらに、山崎のボケの軽さ、適当さを引き立てる効果をもたらしている。

また、上記のような変化もさることながら
彼らはネタをマイナーチェンジすることが多い。
同じネタでも本筋は変化させず、細かいボケを常に変え続けている。

彼らはこのような進化し続けた事で去年、花咲いたのだ。

きっと彼らの進化は今後も続くだろう。
アンタッチャブルにとって2度目のお笑いブームは
彼らの雑草のような強さを証明した。


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コメント 18

キラまる

はじめまして「キラまる」といいます!
アンタッチャブル大好きな私なので興味深く読まさせてもらいました◎
確かに昔と今じゃ漫才の印象かなり違いますよね。
ツッコミのテンションの高さに山崎のボケのテンションが追いついたというか・・。最近のたたみかける漫才大好きです◎
http://blog.goo.ne.jp/kiramaru114/
by キラまる (2005-03-16 22:02) 

すなけし

キラまるさん、はじめまして!!
たたみかける技に磨きがかかりましたよね。
今年はアンタッチャブルの年になりそうな予感です。
by すなけし (2005-03-16 23:27) 

nakany

私も去年のM1で、堰を切ったような笑いの渦に巻き込まれました。
彼らの漫才がはまったときは、すべてがひきつけられる感じがします。
今後も応援したいです。
by nakany (2005-03-17 00:55) 

ダンテ

初めまして、ダンテというものです。
知人がミクシィにて「お笑い演出論」(はったり半分以上です)を始めわたしも参加しています。で、同じようなことをやっている方を検索して此処に行き当たりました。

いやあ、視点が実に鋭いです。しかも技術論みたいなものが、明快で解りやすい。
アンタッチャブルの躍進はツッコミの質・間が変わった、とここまでは「だよな~」と読んでいましたが、「うなずくことによる間」には思い至ってませんでした。
確かに見返すとうなずいてますね。これかぁ~。

またちょくちょく覗かせて頂きます。
by ダンテ (2005-03-17 01:42) 

ヒロノックス

いや〜,おもしろさに拍車がかかってますね.
いえね,アンタッチャブルじゃなくて(彼等が面白いのは知っているけどキミほどチェックしてないのでここではあれこれ書きません)すなさんの文章がですよ.

吉田戦車の映画評「戦車映画」にも同じことを思うのだけども「評」が面白いもんだから本編(ここの場合,ネタか?芸人か?)を見ずして満足してしまう危険性を孕んでいるほどです.

いつもチェックしておりますからね.
by ヒロノックス (2005-03-17 02:10) 

茅ヶ崎住人R

近頃のお笑い芸人さんたちって、(ひとことネタが多いせいもあってか)、「畳みかけてくるような感じ」(抽象的ですいません)がないような気がします。これは迫力ってことかもしれませんが。別にスピード感だけでなく、津波のように押し寄せてくる笑いが・・・。(あぁたいした考えもなく、「畳みかける」って言葉使っちゃった・・・。収拾つかない・・・。)アンタッチャブルさんは、畳みかけてきます。
by 茅ヶ崎住人R (2005-03-17 04:58) 

すなけし

>>nakany
また鑑賞会を開きましょうか?(笑)

>>ダンテさん
はじめまして。
ミクシィにはそんなコミュニティがあるんですね!!??
ちょっとビックリです。

また是非に遊びに来てください!!!
他のエントリーも感想いただけると嬉しいです。

>>ヒロノックス
吉田戦車は言い過ぎでないか。。。??

>>茅ヶ崎住人R さん
そうなんですよね、近頃の芸人さんには前に出てくる勢いが
何か足りない気がします。
津波のようとか、畳みかけるとか色々な表現方法があると思いますが
見ているこちらが舞台に引き寄せられる感覚を
感じられるかって大きいと思います。
by すなけし (2005-03-17 13:06) 

たいがぁ

言われてみるとアンタッチャブルの今の代表的なネタって、昔から確かにやってましたね。そして、その当時のネタは確かに印象に残ってないですね。
私の中でそんな彼らが一番最初に印象に残ったのは、2003年のM-1グランプリ、の少し前に見たネタ番組です。なので、その後のM-1で敗者復活から決勝まで行ったときは、めちゃめちゃ嬉しかったことを覚えてます。
by たいがぁ (2005-03-17 22:53) 

ヒロノックス

戦車先生を引き合いに出してすんまそん.
去年,ホントに涙が出るほどに笑ったのはM-1での アンタッチャブルだったなぁ.
あの巻き込まれる気持ちよさは未だに残っております.
by ヒロノックス (2005-03-18 01:36) 

すなけし

>>たいがぁさん
コメントありがとうございます。
2003年のM-1は燃えましたね!!
そのすぐ後の、オンバトセミファイナルでのネタを見て
2004年はアンタッチャブルが確実に来るな!!と思いました。

>>ヒロノックス
もう一度、見るかい?
by すなけし (2005-03-18 19:09) 

kaito

最初は「もーなんか顔がうるさいよ」(←ちょー失礼・・・)なんて思っていたけれど、
いまでは「あ~ざっす!<(_ _)>」と声に出してしまうこの私。。。
by kaito (2005-03-21 00:48) 

すなけし

イタッチーさん、こんにちは。
顔は確かにううるさいですね(便乗)
僕も時々あ~ざっすって言ってます(笑)
by すなけし (2005-03-21 17:50) 

mr_love_hrm

アンタッチャブルかなり好きですが、下衆ヤバ男さんも好きです☆
by mr_love_hrm (2005-03-30 12:32) 

すなけし

ミスターさんはじめまして。
下衆はハマリキャラですよね!!
一度見たら忘れられない。。。。(笑)
by すなけし (2005-03-30 21:14) 

はじめまして。
何度も頷きながら読んでしまいました。
アンタッチャブルは結構前から知ってるんですが、
まさにすなけしさんの分析どおりだと思います。
ネタの大筋は変わってないのに進化を感じてしまいますね。
by (2005-03-30 21:50) 

すなけし

まっささん、コメントありがとうございます!!
僕は彼らの印象がここ2,3年で全く変わりました。
すっごい芸人です。
by すなけし (2005-03-31 19:54) 

M-1 2003のアンタッチャブルを見てこの記事を思い出してしまい、
自分の記事の中にリンクを張らせていただきました。
by (2005-05-09 01:26) 

すなけし

まっささん、リンクありがとうございます!!!
2003ですか。。懐かしいですねって僕も3日くらい前に見ました(笑)
アンタッチャブルの勢いを確認できます。
by すなけし (2005-05-10 00:42) 

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