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R-30で見せた千原ジュニアの素顔 [芸人評]

R-30という番組がある。
TOKIO国分とV6井ノ原がMCで
30歳以上をターゲットにしたトーク番組だ。

先日、千原ジュニアがゲストとして出演した。
最近ずっと丸くなった印象が強かったが、全く違うということが分かった。

「なんでお前がくすぶってるんや」と酔った松本人志が嘆く
千原ジュニアという男について本日は考察したい。

さて本題に入る前に少しだけ僕の話をしたい。

大学入学当時、僕はとてもトゲトゲしい男だった。
言葉に優しさがなく、状況も考えず思ったことを口に出し
自分の理想を追いかけ、人の意見を受け入れず全てを否定しようとしていた。

その後、研究室に入りこの世に天才がいることを目の当たりにした。
どんなに理想を、技術を追いかけようとも、その人にはとどかなかった。
そして僕は悩み、少しずつ変化を始めたのだが
研究室を出ると決めた際に、その人からこんな激励を受けた。

”君は研究室に来た当時よりも明らかに丸くなった”
”丸くなるのは年齢を重ねてからでも遅くない”
”君の人と違う何かを認識し、伸ばしなさい”

僕が一日たりとも忘れたことのない言葉である。
ここで昔のように否定する力を身につけるのは簡単だった。
ただ、人に言われて昔の自分に戻るのはとても悔しく、何か嫌だった。
そして僕が行き着いた、激励に対する答えはこうだ。

「人の意見を受け入れないで否定することよりも、まずは肯定する」

僕は丸くなったと言われようとも
自分のやりたいことを実現できることが大事なんだと考えた。
その為には手段を選んでられない。
少しでも多くのことを吸収するためには、他者の情報を肯定し
自分の知らない何かを得たかったのだ。
それらの情報の取捨選別は後からでも遅くない。

失礼かもしれないが、R-30で語った内容は
状況の差はあれ千原ジュニアと僕の考え方は全く同じだった。

千原兄弟は大阪で頂点を極め
鳴り物入りで東京へ進出を果たす。
R-30で本人も触れていたが若手の基本である
下手に出て盛り上げるということをせず
自分の世界を押し付けようとしていた。

この方法で当時成功していたのは言うまでも無くダウンタウンである。
最強の強者が目の前にいた千原兄弟は
関東での露出は少なくなっていった。
深夜に面白いコント番組を持っても
それがなくなってしまうのはあっという間だったと記憶している。

次に自分達の方法が通用しないと気付き始めた彼らは
少しずつ変化を始めるのだが、あまり上手く言っているように見えなかった。

そして千原ジュニアは交通事故にあう。
復帰も危ぶまれたほどの大事故だ。
R-30で入院中に考えたことをこのように語っていた。

”先輩芸人が沢山お見舞いに来てくれた”
”色々なネタを仕込んできてくれたり”
”病室で飛び交う笑いを見て”
”この世界にもう一度戻りたい、笑いを取りたいと本気で思った”

千原ジュニアは、どんな方法ででも、ひたすらに人を笑わせようとしているのだ。
それが笑いに飢えた男の結論だった。

笑いへの飢えを知る男、千原ジュニア。
飢えを満たすため丸くなった、千原ジュニア。
しかしその裏では静かに、そして力強く、刺々しい刃を持ち続けている。


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天丼芸人 タカアンドトシの進化 [芸人評]

爆バトファイナルが先日放送されました。

優勝はタカアンドトシ。
去年に続き2連覇となります。

本日は爆バトファイナルのレビュです。
まずは2位~11位まで。

【ハマカーン 894kb】
ツッコミが急成長しました!!

今までのネタはボケが中心で、ツッコミで笑いを取ることが少なかった。
なので印象に残らず、ただのテンポの良い漫才に見えてしまっていたのですが
ファイナルのネタは違いました!!

ボケを食い気味のツッコミから、間をおいてのツッコミまで
ボケではなく、ツッコミで笑いを取れるようになっていました。

残念なのはそれが漫才後半まで続かなかったことでしょうか?
”料理のさしすせそ”というベタな設定もあったと思いますが
後半の伸びを手に入れれば今年の彼らは面白くなりそうです!!

いやぁ。。。この成長は去年の彼らからは想像できなかったなぁ。。。
嬉しい裏切りでした。

【キャン×キャン 818kb】
トップバッターという不利な順番の割には
大健闘といった感じでしょうか?

彼らのネタの中では比較的面白い方だったと思います!!
でも、ネタの繋がりが無さすぎる。。。
それを最後に天丼に持ち込むんですが、なんとなく物足りない。

みんなのうたを題材にした漫才だったのですが
「みんなのうたショートコント」の連発なだけで
漫才形式なのに漫才のように感じれませんでした。
そしてボケ倒しまでもいっていないんですよね。。。
なんとなく中途半端じゃないでしょうか?
中途半端を最後に繋げても、面白い天丼にはならないと思います。

【三拍子 794kb】
こちらも去年からは想像できない成長ぶりでした!!!

セミファイナルも使用したネタ構成ですが
途中途中で脈絡なしに

「俺、お前が好きなんだけどね」

とボケがツッコミに囁くのが、かなり効果的に笑いを取っていました!!
刑事を題材にした自然な流れの漫才の中に
いきなり「素」が現れる面白さがありました。
このような”飛ばし”は、流れが自然でないと面白くならない。
去年はテンポが一定で面白くないことが多かったのですが
それを逆手に取り、
合間に「素」を入れるという構成で
彼らの問題点を解決しているように感じました!!!

【NON STYLE 750kb】
いつもの”いきり漫才”でファイナルに登場。

セミファイナルに続き、”いきり”の飛び具合が伝わってこない。。
NON STYLEはたぶん
ダブルボケ、ダブルツッコミをしようとしているのですが
それが中途半端で成功していないように思えます。
小笑いの連続で大笑いがない印象です。

【磁石 738kb】
磁石のネタで一番面白かったのではないでしょうか!!??

常々、漫才中のネタの繋がりがないことを問題視してきましたが
今回は

つながりの無いネタ1:本ネタ9

くらいの割合。
今までのネタより断然良い!!!!!!
”女の子に声をかけたい”という題材を軸に
ネタが構成されていました。
天丼も効果的だったし
このままの流れでどんどん面白くなって欲しい!!

【タイムマシーン3号 702kb】
またしてもデブネタを捨てた漫才を披露。

結果は出ませんでしたが
彼らが進んでいる方向は絶対間違いじゃないです!!
このまま進めばきっと何かをつかめると思います。
始めて彼らを観察し続けたいと感じました。

素直な漫才戦士に幸あれ!!!

【星野卓也 646kb】
唯一のピン芸人として登場。
いつものフリップ漫談でした。

鳥と魚の名前でボケとツッコミを作り笑いにするといったネタ内容。
途中、ネタが飛んでしまったりと、かなり緊張のご様子でしたね。
彼の早口で聞き取り難いという欠点を解消するのに
フリップはとても効果的だと思うのですが
最近ちょっと頼りすぎではないでしょうか?
もっともっと面白くなれるはずだ、星野卓也!!!!

【東京03 542kb】
何でこんなに順位が低いの!!??
僕は全く納得できません!!!!!

今回はツッコミがいない3人コント。
アルバイト仲間の二人で海外旅行の打ち合わせ中に
同棲相手が別れを切り出す。
そのとき、旅行用に使うつもりだったビデオカメラを回しており
別れ話の一部始終を撮影してしまうといった内容。

ボケがいないのに笑えるのは
”ビデオカメラを撮影する”という行為がツッコミになっているからだ。
ビデオカメラの視点が観客の視点/第3者の目となるからだろう。
非常に上手い構成のコントだ!!!!!

嫁も僕も一番笑ったのだが、結果はかなり振るわなかった。。。
終了後のコメントで東京03が

”ネタは良いのもだったと思う”
”伝えきれなかったのかぁ。。。”

と言っていましたが、そのとおり!!
ネタは絶対よいものだった!!!!!
またどこかで見てみたい!!!

ツッコミが大声で怒らなくても
面白いコントができる、東京03の新たな一面が見れて非常に良かったです。

【トータルテンボス 526kb】
空き巣に入ったら、住人が帰ってくるというコント。

設定もベタだったし、オチも設定が分かった瞬間に予想したものだった。
トータルテンボスにしては裏切りが少ないネタでした。。。
ちょっと寂しかったです。。。

【ホーム・チーム 506kb】
セミファイナルが良かっただけに、期待していたのですが。。。

結果は最下位。
あの出来ならしょうがないかなぁ。。。
盛り上げ所で全く盛り上げられませんでした。
セミファイナルで燃え尽きたのでしょうか!!??

【総評2位~11位】
着実に進化している姿を確認できた芸人が多く
そのような意味では大満足だった。
しかし、笑いの量としては、そんなに多くなかった。
くすくす笑いは多いが大笑いが少ない。
あと東京03の順位がどうしても納得できない。。。

そして最後に2連覇を果たしたタカアンドトシ。

【タカアンドトシ 946kb】
去年、優勝した際に以下の記事を書きました。
http://blog.so-net.ne.jp/suna_keshi/2005-03-28-2

この記事で触れているように
彼らは天丼芸人である。

再度記載しますが彼等の天丼の種類は豊富だ。

  ・通常の天丼ボケ・・・同じボケを話の流れと関係なく繰り返す
  ・通常の天丼ボケ+3段オチの合わせ技
             ・・・天丼を繰り返すのを前フリにして
                3回目に全く違うボケまたは駄洒落的な要素のボケを
                もってくる事で古典的な笑いの取り方を網羅する。
  ・時間差天丼・・・漫才のツカミで使用したボケや中盤に使用したボケを
            終盤になってもう一度使用する。
  ・ツッコミ天丼・・・種類の違う細かいボケを繰り返し
            それに対して同じツッコミを繰り返す。
            本来は天丼はボケが行うものだが、それをツッコミに応用したもの。

そして今回、上記に加えてもうひとつの天丼を入れてきました。

  ・構成天丼・・・同じ行動/ボケの”流れ”をなぞらえながら
           また違ったボケの流れを作る、漫才構成自体が天丼になっている。

前半と後半でボケとツッコミの役割入れ替え
前半のボケをツッコミに言わせて、それにかぶせてボケるという構成でした。

去年、僕が疑問に感じた
ハイリスクハイリターンな天丼ネタの解決策がこれだとしたら
彼らは間違っていると僕は思う。
結局、1つ目のボケで受けなかったら構成天丼も成り立たないのだ。
しかし、今年もチャンピオンに輝いた。

去年感じた、チャンピオンになった重さは、彼らと違うところで解決されてしまったのだ。

それは、お笑いブームである。
天丼や「欧米か!!??」などのフレーズがお馴染みになってしまった事により
ギャグと同じような効果をもたらし
古いリズムであっても、一発目の天丼で笑いを取ることができたのだ。

事実、漫才前のトークでもお馴染みのフレーズを使用し
一発で客を自分たちの空気にしていた。

ただし、これが悪いと言っているわけではない。
客もそれを求めているのだし、それに答えるのも芸人である。

一方で去年。
彼らは時々、天丼を使用しない漫才も披露している。
それは古いリズムでありながらも、発想で勝負できる漫才であり
とても印象に残っている。

天丼ではない進化をしたのが去年であったはずなのだ。

そこで1つ提案。

来年の爆バトは天丼なしで勝負していただきたい!!!!

きっと彼らなら、それをやっても3連覇狙えるはず。
そして前に進んでいる様を見せて欲しい!!!
僕はまだ、彼等のチャンピオンベルトは重たいと感じている。


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山田邦子 = 明石家さんま [芸人評]

ゴールデン番組を持ったことのある芸人は少ない。
それを目標にしているかは別として
それが何か1つのゴールのように言われた時代もあった。

そのゴールに向かって駆け抜けた芸人の中で
女性という存在は今も昔も少数派である。
だが例外的に長年、冠番組を持っていた女性がいた。

本日は山田邦子について考えたい。

僕が彼女を認識したのはもちろん、オレたちひょうきん族である。
当時、「絵書き唄」というポップな音楽に乗せて
女性が表情も変えずに下ネタを多用するなんて考えられなかった。
オレたちひょうきん族という番組が、そのようなタブーを沢山壊したとも言える。
見ていると、よく親に怒られたのを記憶している。

また、僕は後に聞いた話だが
”ぶりっ子”という言葉は「邦子のかわいこぶりっ子」という歌でブームとなったそうだ。
それくらい彼女には勢いがあった。
その勢いのまま「もぎたて!バナナ大使」「やまだかつてないTV」などのレギュラーを沢山持ち
好感度調査で1位になるようになっていた。

彼女はとにかく良く喋る。

まさに機関銃のようだ。
はっきり言って、彼女のトークは単発で面白いことは少ない。
沢山弾を撃つ中で1つ2つ面白い話があり
それを拾って面白く見せる話し方を彼女は得意としている。

それを示すかのような逸話として
今の旦那と結婚する前にキスを迫られ山田邦子は実況するかのように

”今、狙ってる?”
”あぁ、来た来た”
”迫ってる、迫ってくる、後3センチだ”

なんて会話のあとにキスしたなんて話がある。
旦那にしてみたら、たまったもんじゃない。

普段とTVでのキャラに差がないのだ。

このように考えると、僕はある人物とかぶって見えてしょうがない。

山田邦子 = 明石家さんま

経歴も実は良く似ている。
山田邦子は落語家を目指していた時期があったが諦め
漫談をやろうとした経緯があるそうで、全く明石家さんまと同じなのだ。
共通点はこれだけではない。
悲しい事実がある。

二人とも結婚を境に、面白くなくなったのだ。

今、山田邦子はほとんどTVに出演する姿を見ない。
それが意図的なのかどうかは不明であるが
出演しても、笑いを取ろうとしても笑いが取れない。
少し前のダウンタウンDXなんて本当に酷かった。。。

昔の彼女が特に好きで、ゲラゲラ笑ったかといえばそうではないのだが
あまりにも差があるように感じている。
彼女も明石家さんま同様に「寂しさを燃料にして走る」タイプの芸人なのだ。
(明石家さんまの記事はこちら:http://blog.so-net.ne.jp/suna_keshi/2005-07-26 )

この考察が正しいとすれば
山田邦子が面白くなるための方法は1つ。
明石家さんまがそうであったように
「離婚」である。

彼女が今後、離婚するかは別の話であるが
もしそうなったならば
今よりも面白い、山田邦子が見れると予言しておきたい。


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萩本欽一という芸人道 [芸人評]

少し前の話ですが深夜にコント55号のネタを放送していた。
彼らのDVDが発売されるのを記念した番組であった。

僕は「欽ちゃんの~」系の番組は小さい頃に見ていたが
コント55号として活動しているところは
昔を振り返る系の番組でチラッと映るくらいしか見たことがなく
ちゃんと長いネタを見たのは初めてだった。

演者と観客の一体感が非常に強い。

なにより、これを一番強く感じた。

観客は笑いますよ、楽しみたいんですという空気で満ちており
演者が大げさに、”ここが笑いどころなんですよ!”というアピールをすれば
それに対して必ず笑いを返し
舞台上の二人と伴に、楽しんでいる感が非常に強い。

一方、演者は
”今から面白いことをしますよ”

というオーラで満ちており、常に観客を向いて話し
笑い所を分かり易くするために、間や動きを大きくしている。

それらがガチっと噛み合い、ライブ/一体感が伝わってくるのだ。

言い方を変えると、実際に舞台を見ている観客と
ブラウン管を通して見ている観客に全く温度差を感じさせないといえる。

ここに視聴率100%男と呼ばれた萩本欽一のすごさが凝縮していると考える。

”徹底した観客視点”だ。

それを象徴するような逸話がある。
今では当たり前になっていることだが
コントや観覧系のバライティ番組において、客やスタッフの笑い声が流れる。
客の笑い声を録るために、観客側へ最初にマイクを置いたのが
萩本欽一だったそうだ。

TVを見ている観客のことも考えライブ感が伝わるように観客の笑いを電波に乗せたのだ。

良し悪しはともかく、ここ数年のお笑い芸人が提供する笑いは
昔コント55号が生み出した笑いとイコールでないと感じる。
 ##比較的近い物を考えると、極端ではあるがSMAP×SMAPを代表とするアイドルが出演する
 ##バライティ番組ではないだろうか?

徹底した裏切りを模索するのも芸人道であると同時に
徹底した観客視点を持った演出も芸人道なのだ。

萩本欽一は現在、TVの一線を退いたものの
野球という異世界でエンターテーメントを模索し続けている。
真の芸人である。


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清水ミチコのPATE屋 [芸人評]

前々からどうしても行きたい店があった。
その店の名前は”PATE屋”。
自由が丘と田園調布の丁度、真ん中にある。

その名のとおり、パテを売っている店だ。
そして、気をつけて探さないと通り過ぎそうになる佇まいである。

環状8号線という大きい道路から少し入った場所とは思えない
喧騒とは無縁な空間がそこには広がっていた。

ここは、清水ミチコが6年間アルバイトをしていた店である。

ある番組でこの店が紹介され、あまりに美味しそうだったので足を運びたかったのだ。

なんとも美味なパテでした。
右側のレバーのパテが特に絶品!!

清水ミチコには不思議な力がある。
ダウンタウンと対等にやりあう狂気を持ちながら
基本に忠実な芸も持っているのだ。

顔まねの写真集や、溶け込みシリーズは正気の沙汰とは思えない面白さがある。
特に溶け込みシリーズが僕は好きだ。
日本や海外の風景に溶け込む為に扮装し
ただそこにいるだけの写真を彼女は撮り続けている。

かと思えば、彼女のピアノ芸は
様々なアーティストの曲の”テイストを物マネ”するという
憑依したかのような芸も持っている。

どちらも、何かを探求しようとしなければ行き着かない境地であると考えるのだが
彼女はそれを自然に見せる。
凄さが全く嫌味にならないのだ。
それが彼女が持つ一番の不思議な力だ。

清水ミチコはPATE屋のように、ひっそりと芸を探求し続けている。
PATE屋で彼女のそんな原点を見たような気がした。

インタビュ記事
http://www.mammo.tv/interview/084_ShimizuM/

清水ミチコの「これ誰っ!?」

清水ミチコの「これ誰っ!?」

  • 作者: 清水 ミチコ
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2005/04
  • メディア: 文庫
歌のアルバム

歌のアルバム

  • アーティスト: 清水ミチコ
  • 出版社/メーカー: Sony Music Direct
  • 発売日: 2005/02/23
  • メディア: CD

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麒麟の遠近法 [芸人評]

この時期はどうしても、M-1が気になって気になってしょうがない。
誰が決勝に残るか?
審査員は誰か?
審査方法は?
司会は?
挙げればキリがない。

記念すべき第一回、2001年M-1グランプリはその全てが模索だった。
まず受け入れられるか心配だったのだろう。
客を審査員にした。
これにより大会は、ぐだぐだになったのだが
そんななか実力を出しきり、平均的にうける中川家が優勝した。

だがそれらよりも印象的だったのは麒麟である。
この時、麒麟は全くの無名。
それがいきなり決勝に現れ、忘れられないネタを披露した。

そして麒麟が今も格闘しているのがこのネタだと考える。

本日は、僕が密かに期待し続ける、麒麟について語りたい。

麒麟の漫才はボケとツッコミの距離が極端に遠い。
実際の距離が離れている訳ではなく
関係性の距離を感じる。
二人の会話は、ほとんどないのだ。
そして同じ空間にいる設定をあまり好まない。
つまりツッコミ田村がボケ川島に翻弄されるのみである。

それは彼らの笑いの取り方が”距離の遠近”を使用していることに起因している。

通常、漫才は感情の強弱を会話/リズムで見せることで笑いを取ることが多い。
感情の起伏と言い換えることもできる。
その面で麒麟の漫才は弱い。
それをカバーしているのが、二人の距離の遠近である。

漫才の出だしで、二人の距離を設定で大きく離す。
(例えば受験生とラジオDJ。接点はラジオしかない。)
その設定の中で田村が翻弄され、ツッコミを川島ではなく空間に向かってする。
空間にしていたツッコミを今度は川島へ移す。
すると遠かった二人の距離がグッと近づく。
近づいたと思えば、また設定やキャラを変え離れる。

この距離が離れたり、引っ付いたりする遠近のギャップを使い
笑いにするのが上手いのが麒麟であると考える。

その意味で、2002年のM-1のネタは見事だった。

距離が離れたり近くなる様子が小気味良く
本当に気持ちよく笑えるネタだった。

その時と彼らのスタンスは、今もほとんど変わっていない。
しかし、ネタによっては距離が離れすぎていたり
バランスに苦しんでいるように僕には見えている。

しかし苦しんでいながらも、彼らは実力を発揮し続けている。
去年のM-1で敗者復活戦で勝ちあがった時は
思わずガッツポーズしてしまうほど嬉しかった。

嬉しかったが、それでもまだ何かが物足りなかった。

だが今年、それを補うかのように新たな武器が育ったと感じている。

田村の明るさである。

彼の明るさは凄いの一言でしか表せない。
普通、空間にツッコミを入れると空々しくなるものだが
田村がそうしても、何か温かさが残るのだ。
稀有な能力である。
それが今年、前に出るようになってきたと感じている。

この効果は大きい。
二人の距離を感じたとき
漫才の世界へ入れないという短所がある。
しかし、田村のおかげで、その短所が見事にカバーされ
漫才の世界へ入りやすくなったのだ。

そしてなによりも、近づいた時の距離がさらに狭まり
ギャップが大きくなった。

M-1も始まった当初から随分システムも変わり
大分安心して見れる作りになってきている。
その第1回からM-1と共に足掻いてきた麒麟。

彼らの完成形を見る日が近くあって欲しい。


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爆笑問題の今昔 [芸人評]

僕は爆笑問題の大ファンだった。
読んで字のごとく過去形である。
今の彼らを見ていると違和感をとても感じる。
本日はそんな違和感について書きたい。

僕が彼らを徹底的に好きになったのは
GAHAHAキングという深夜放送である。
当時、ネタ番組はかなり珍しかったのだが
10週勝ち抜くとGAHAHAキングの称号を得るといった内容だった。

審査員がいつも微妙で10週勝ち抜くのはかなり困難なことだと思うのだが
爆笑問題は、いとも簡単にそれをやってのけた。
しかも、1,2週目の前半戦よりも
8,9,10週目に見せたネタの方がクオリティが高かったのだ。
これは彼等の漫才の上手さ、底力を如実に表していた。

爆笑問題の漫才は
時事ネタと微妙に古いネタとをミックスし毒を加え
それを王道の漫才のリズムで見せるスタイルだ。
そのテンポもさることながら、発想転換のボケで勝負できる漫才師である。

僕は彼等の発想転換、着眼点、相対化の上手さに見せられたのだが
あるときから、ネタの内容に違和感を憶えるようになってきた。

自由に発想してきた彼等のネタに、ある種の制限を感じるようになったのだ。

そして僕は段々と彼等の漫才、TV番組から遠ざかった。
遠ざかって、その制限の意味が分かった。

爆笑問題はメディアの代弁者となった。

こんな逸話がある。
彼らは昔、尖がりすぎるほどに尖がっていた。
しかし、彼らの所属していた事務所は弱小。
噛み付きまくり、扱いづらい彼らを
TVで使いたいと思う物好きは、いなくなっていったそうだ。
結果、爆笑問題も認めている事実として、「2回干された」。

そのような状況の中で彼らが出した答えは

”NOと言わない”

どのような仕事でも昔のように尖がることなく受けていった。
結果。
彼らはTVにとって都合のよい
メディアにとって都合のよい発言を多くするようになっていく。
それと比例するようにメディアへの登場回数は増えていった。
毒舌という皮を被り。。。

ただし、僕は昔に戻って欲しいと思っているわけではない。
TVブロスの太田のコラムを読む限り
思考のバランス感覚が戻るとは思えないからだ。
ひとつだけ望むならば

僕は爆笑問題の本当にやりたいようにやった結果が見てみたい。

ただただひたすらに、その時を待っている。


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東京ダイナマイト -日比谷野音ライブ決戦を見て- [芸人評]

東京ダイナマイト。
彼等を紹介する時に「たけしイズム最後の継承者」などと言われるのを良く聞く。

何が”たけしイズム”なのか
何を継承しているのか
何故最後なのか

そんなことが疑問でしょうがなかったのだが
先日の夜中に東京ダイナマイトのライブの模様が
”日比谷野音ライブ決戦”と題して放送され
気になるコメント等、もろもろ感じたことがあり
疑問が解消した気がしたので
まとめてみたい。

まず、彼らに関係ないことだが番組の構成が酷すぎた。
ライブを放送するのであれば、あのような編集はありえない。
とにかく沢山の種類のネタの面白いところだけ
放送時間に入れようとした印象しか受けなかった。

もっとライブ感の伝わる編集の方法があったんじゃないだろうか?
放送する漫才の数を減らしても、そうするべきだったと思う。

さて、そんなこんなでガッツリ編集されていた分
彼等の多種多様な漫才が放送されていた。
昔のもの、新作、短いもの、サンプリングetc...
漫才の一つ一つの評価ではなく、種類という視点で振り返ると

『貪欲』

という言葉がまず頭に浮かぶ。
彼等はどんな方法であれ、客が笑えばそれでよいと考えている。
それが彼等のスタイルなのだ。

代表的なのが漫才のサンプリングである。
今回のライブでもあったが彼等は他のコンビのネタを平気で模倣する。

ライブの冒頭から「麒麟です」をパクリ
その後すぐに「あまぁぁ~~~~い」と叫ぶ。

ネタも”笑い飯”を模倣したダブルツッコミダブルボケをやったかと思えば
父からの手紙という”チャイルドマシーン”が得意とした手法をやっていたりする。

また、今回のライブでは放送されていなかったが
違うDVDに収録されているものでカバーと称し
次長課長のコントをそのまま舞台でやっていたりもする。

先日、こんな逸話をFUJIWARAが話していた。
厳しかった仕事という話で

”学園祭に行ったら主催者が”
”「千原兄弟のあのネタやってください」と言ってきた”
”バンドに曲を頼むような感覚で頼んできたのだろうけど”
”あれは辛かった。。。ありえない”

と話していたのだ。
そう、芸人が他の人のネタをやるというのは、ほとんどタブーに近い。

それをいとも簡単に、率先してやってのけるのが東京ダイナマイトだ。

ビートたけしはTV界のタブーを沢山壊した芸人だった。

タブーという壁を取っ払うというのが「たけしイズム」だとすれば
見事に継承していると言えるだろう。
東京ダイナマイトは”芸”のタブーを壊そうとしている。

そしてそれが”最後”な理由は2つ。
1つ。
この芸というタブーを壊してしまうと
芸人にとってのタブーは無くなってしまうといって過言ではない。
2つ。
以前書いたが、たけしはもうお笑い芸人ではないのだ。
http://blog.so-net.ne.jp/suna_keshi/2005-05-28)
そのような意味で最後だと言えるだろう。

番組の中でハチミツ次郎がこんなコメントをしていた。

”今のお笑いブームに乗れないけどお笑いが好きな人”
”本当にお笑いが好きな人にとって”
”僕等は最後の砦だ”
”きっと僕等の所に帰ってくる”
”そんな意味を込めて、ライブではいつも”
”「いらっしゃい」ではなく「おかえり」と言う”

今さらこんなことを書くのも忍びないが、僕はお笑い好きである。
彼らに”おかえり”と言われるならば
貪欲に芸のタブーを壊すという棘の道を進もうとしている東京ダイナマイトへ
この言葉を送りたい。

『いってらっしゃい』

彼らの進もうとしている道は本当に険しい。

東京ダイナマイト単独ライブ DYNAMANIA

東京ダイナマイト単独ライブ DYNAMANIA

  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • 発売日: 2005/09/21
  • メディア: DVD


ユナイテッドステイツ オブ ニッポン

ユナイテッドステイツ オブ ニッポン

  • 出版社/メーカー: バップ
  • 発売日: 2005/03/23
  • メディア: DVD


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ジョビジョバのそれぞれ [芸人評]

2002年に解散したジョビジョバ。

メンバを時々メディアで見かける。
でも、いったい何をしてるのか分からない人が多く
ずっと気になっていたので、調べてみました。

マギー:ドラマ、バライティにと時々TVで見かける。
    リーダだけあってか、一番メディアの露出度も高い。

    ”NIN NIN 忍者ハットリくんThe Movie”の脚本をやったらしい。。。
    僕はこの作品見てませんが、相当アレがアレしてたという噂ですよね。
    むぅぅ。。。
    公式HP:http://www.magy-hitorisaru.com/

長谷川朝晴:近年、熱い枠として名高い昼ドラの
      「契約結婚」に出演中。
      主人公が雛形ってのもベストチョイスだよなぁ。。見てみたい。
      さらに大河ドラマ『義経』出演中だったりと
      役者中心に活動している様子。
      二枚目ですしね。

木下明水:ラジオのオールナイトニッポンいいネ!火曜日パーソナリティが
     一番メジャーどころのお仕事でしょうか?
     いつの間にか終了したみたいですが。。。
     特にジャンルを絞って仕事はしていない様子ですね。
     解散後にロンブーか何かの番組にて、裸どうぜんの姿で出演していた時は
     かなり悲しくなりました。。。
     現在はホリプロに所属。
     公式HP:http://www.meisui.tv/

坂田聡:スウィングガールに出演しているそう。
    映画や舞台を中心に活動されているようですね。
    映画に詳しい感じのコントもやっていたりしたので
    やっぱり?といった印象でした。
 
六角慎司:なんだかCMで沢山見るなぁと思って調べてみたら
      ・ スズキ「スイフト」
      ・ SONY「ビデオなカメラ」
      ・ ビデオ「マスクオブゾロ」
      ・ MoMAニューヨーク近代美術館
      ・ JR東日本
      ・ 明治製菓
      ・ アサヒ「本生」
      ・ 「AEON」
     めちゃめちゃ売れっ子じゃないすか!!??
     やっぱあの顔はインパクトあるもんなぁ。。。
     こちらも舞台中心の活動の様子であります。

石倉力:解散後はサラリーマンとして働いているそうです。

調べてみた感想。
なんかパッとしないんだよなぁ。。。
彼らはちゃんとしたコントも作れるし演技も下手ではない。
どこかで何かを掛違ったのを
解散後、みんなで引きずっているようだ。

一線で活躍し続ける為には、才能、能力もさることながら
タイミングやきっかけが本当に重要なのだと考える。
メディアで時々見かける彼らを見るたびに
そんなことを考え、そんな当たり前の事実をちょっと寂しく思う。


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品川庄司 熱量の変化 [芸人評]

僕は昨晩、登龍門での品川庄司のネタを見て
静かな感動で熱くなった。

品川庄司が再び羽ばたこうとしている。

彼らが注目を浴び始めたのは2000年くらいからだったと記憶している。
”笑いの時間”の若手芸人記憶コーナで
ダウンタウンに名前を覚えてもらろうと、グーで殴りあったのがこの頃。
それを起点にどんどんTVに出始めた。

例えば深夜に生放送と知らされずに番組を任されるというドッキリにあったこともある。
そのような特別扱いをされる芸人はそう多いものではない。

そのままの勢いで一気に売れそうだったのだが
いつの頃からか勢いが衰え、中堅の変な位置で燻っている。

そしていつの間にかTVでは新ネタをほとんどやらなくなってしまった。

それがどうだ。
この1ヶ月で新ネタを2つもTVで見ることが出来た。

「M-1」

M-1に挑戦できる最後のキャリア(10年目)である彼等が本気になったと
勝手な憶測をしてしまっている。
そして何かが変わった。

昔と今の笑いの取り方が違うかといえば全くそんな事はない。
彼らは二人の対立を上手く笑いに変える事ができる。
(品川は庄司以外の対象をほとんど批判しない)

変わったのはこの二点。

”品川がツッコミをちゃんと受け止めるようになった”
”庄司が気持ちの入ったツッコミをするようになった”

彼らの一番の特徴は

 「ボケて殴られても動じない」
 「嫌味なく暴力的なツッコミが出来る」

であると思う。

簡単なようで難しい、この二点が得意すぎるが故に
彼等の以前のネタは熱量が一定で話の変化に乏しい
淡々としたネタに見えていた。
激しいツッコミをしているにも関わらず。

それが二点の変化により

ボケ→ツッコミ→ツッコミに対するさらに発展したボケ→ツッコミ→・・・

という流れを感じる事ができるようになり
二人の熱量がどんどん上がっていくような漫才の渦を作れるように変化した。

しかしまだ、変化したスタイルは完成していないと思う。
後半の勢いに対して前半の導入部分が物足りない。

ただ僕は嬉しくてしょうがない。
品川庄司が前に進もうとしている。
それが本当に嬉しいし、期待してしまう。

品川庄司の熱でM-1が熱くなるかもしれない。


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